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札幌高等裁判所 昭和57年(ネ)46号 判決

主文

一  原審第二〇八号事件、第八二号事件

1  八五号控訴人中央運輸有限会社の控訴を棄却する。

2(一)  原判決中第二項ないし第四項(原審第八二号事件)を次のとおり変更する。

(二)  八五号控訴人中央運輸有限会社と四六号控訴人同和火災海上保険株式会社との間において、同四六号控訴人が、同八五号控訴人の四六号被控訴人シルバーフエリー株式会社に対する損害賠償債権のうち昭和五五年二月二八日訴外太洋産業株式会社に、同五六年三月二七日同八五号控訴人にそれぞれ保険金を支払つたことにより代位取得した各損害賠償請求権合計金七、一三〇、五四〇円の債権を有することを確認する。

(三)  四六号被控訴人シルバーフエリー株式会社は四六号控訴人同和火災海上保険株式会社に対し、金七、一三〇、五四〇円及び内金五、六三〇、五四〇円に対する昭和五五年三月二〇日から、内金一、五〇〇、〇〇〇円に対する昭和五六年三月二八日から各完済まで年五分の割合による金員を支払え。

(四)  四六号控訴人同和火災海上保険株式会社のその余の各請求をいずれも棄却する。

二  原審第一〇号事件

1  原判決を次のとおり変更する。

2  八五号控訴人中央運輸有限会社は八五号被控訴人日産火災海上保険株式会社に対し、金七、五八八、六五八円及びこれに対する昭和五四年一一月二日から完済まで年六分の割合による金員を支払え。

3  八五号被控訴人日産火災海上保険株式会社のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、原審第二〇八号事件、第八二号事件について、第一、第二審を通じて、八五号控訴人中央運輸有限会社、四六号被控訴人シルバーフエリー株式会社に各生じた費用は全部同八五号控訴人の負担とし、四六号控訴人同和火災海上保険株式会社に生じた費用の二分の一を同四六号控訴人の負担とし、その余は同八五号控訴人・同四六号被控訴人らの負担とし、原審第一〇号事件について、第一、第二審を通じて、八五号被控訴人日産火災海上保険株式会社、八五号控訴人中央運輸有限会社に各生じた費用はこれを二分し、その一を同八五号被控訴人の、その余を同八五号控訴人の負担とする。

事実

一  申立

1  原審第二〇八号、第八二号事件

(八五号控訴人)

(一) 原判決(原審第二〇八号事件)中八五号控訴人敗訴部分を取消す。

(二) 八五号被控訴人は八五号控訴人に対し、金二一三万円及びこれに対する昭和五三年五月三〇日から完済まで年五分の割合による金員を支払え(当審において請求を減縮)。訴訟費用は第一、第二審とも八五号被控訴人の負担とする。

との判決並びに仮執行の宣言を求める。

(四六号控訴人)

(一) 原判決(原審第八二号事件)を次のとおり変更する。

(二) (1) 八五号控訴人と四六号控訴人との間において、八五号控訴人の四六号被控訴人に対する損害賠償債権中金八、六三〇、五四〇円が四六号控訴人に属することを確認する。(2) 四六号被控訴人は四六号控訴人に対し、金八、六三〇、五四〇円及び内金五、六三〇、五四〇円に対する昭和五五年二月二九日から、内金三、〇〇〇、〇〇〇円に対する同五六年三月二八日から各完済まで年五分の割合による金員を支払え。(3) 訴訟費用は第一、第二審とも第八五号控訴人及び第四六号被控訴人の負担とする。

との判決を求める。

(四六号被控訴人)

(一) 八五号及び四六号控訴人らの控訴をいずれも棄却する。

(二) 控訴費用は右控訴人らの負担とする。

との判決を求める。

2  原審第一〇号事件

(八五号控訴人)

(一) 原判決中八五号控訴人敗訴部分を取消す。

(二) 八五号被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、第二審とも八五号被控訴人の負担とする。

との判決を求める。

(八五号被控訴人)

八五号控訴人の控訴を棄却する。控訴費用は八五号控訴人の負担とする。

との判決を求める。

二  当事者の主張及び証拠関係は、次のとおり附加訂正するほかは原判決事実摘示のとおりであるからこれを引用する。

1  主張

(一)  原判決六枚目裏一〇行目の「支払」の次に「請求権を有するところ、四六号控訴人から八、六三〇、五四〇円の弁済を受けたのでこれを控除し、請求の趣旨(前記一1)記載の金員(当審で減縮)の支払」を加え、同一二枚目裏六、七行目、同一三枚目表四行目の「上下部、左右部」を「上下動、左右動」と改め、同一五枚目表九行目の「午後」を削る。

(二)(四六号被控訴人及び八五号被控訴人)

船舶による車両の運送に当つては、料金算定基準が車長単位で車両重量単位でないこともあつて、車両の重量については通常予想しうる程度のものと理解され、またそのようなものとして運送の受付がなされている。従つて、本件車両のような三倍強の異常な過積状態にある車両の場合、万一のときには転倒しやすいのであるから、その旨注意を促して運送申込みをすべきである。ところが、これを怠り、単に航送申込書に積載重量を記入して申込んだ点に八五号控訴人の過失がある。

(八五号控訴人)

八五号控訴人の運転手が四六号被控訴人に対し、航送申込書に積載重量を記入して本件車両の運送を申込んだことは認めるが、その余は争う。

2 証拠(省略)

理由

一  当裁判所の判断は、次のとおり附加訂正するほかは原判決の理由説示のとおりであるからこれを引用する。

1  原判決一九枚目裏一行目の「、四」及び「一二号証、」を削り、「一三号証、」の次に「弁論の全趣旨により原本の存在が認められ、成立につき争いのない甲一二号証」を、三行目の「一四号証、」の次に「弁論の全趣旨により成立を認めることができる乙二三号証、」を、同二〇枚目裏一〇行目の「午前の」の次に「予想される」を各加える。

2  同三〇枚目裏一一行目の「(二)、」の次に「ニ」を、「ついては、」の次に「四六号被控訴人側には、佐藤勇二船長によるオーバーラツシングの装着作業の遅滞及び本件車両の異常な過積状態の看過の点に過失があり、他方八五号控訴人側には、足澤晴信運転手による異常に過積をした車両の航送申込みと、その使用者である八五号控訴人によるそれの容認の点で」を各加え、同三一枚目表二行目の「原告六割、被告四割」を「八五号控訴人五割、四六号被控訴人五割」と、同三二枚目裏一行目から二行目までの「二月二八日」を「三月一九日」と各改める。

3  同三四枚目裏二行目及び四行目の「六割」を「五割」と、同行目から五行目まで及び一〇行目から一一行目までの「一、五六〇、〇〇〇」を「一、九五〇、〇〇〇」と各改める。

4 同三五枚目表六行目から七行目までの「当事者間に争いがない。」を「四六号控訴人と八五号控訴人間に争いがないこと並びに前記丙一ないし四号証によれば右事実を認めることができる。」と、一〇行目の「二月二八日」を「三月一九日」と各改める。

5 同三六枚目表四行目の「二月二九日」を「三月二〇日」と改め、五行目の「である」の次に「(四六号被控訴人が八五号控訴人に対し求償権を行使するか否かは別として)」を加え、同枚目裏一行目、五行目及び八行目の「六割」を「五割」と、同行目から九行目及び同三七枚目表二行目の「一、二〇〇、〇〇〇」を「一、五〇〇、〇〇〇」と、五行目の「六、八三〇、五六〇」を「七、一三〇、五四〇」と、同枚目裏四行目の「成立に争いのない」を「弁論の全趣旨により成立の認められる」と各改め、五行目の「七号証、」の次に「成立につき争いのない」を加える。

6 同三九枚目裏五行目及び八行目の「六割」を「五割」と、同行目から九行目の「九、一〇六、三九〇」を「七、五八八、六五八」と各改め、一〇行目の「二日」の次に「(八五号被控訴人の請求する日)」を、同四一枚目別表番号2欄の支払日欄「53・7・31」の次に「、53・8・9」を各加える。

二 以上のとおりであつて、八五号控訴人の原審二〇八号事件の請求は理由がなくこれを棄却した原判決は相当であつてこれに対する控訴は失当であるから棄却することとし、四六号控訴人の原審八二号事件の請求及び八五号控訴人の原審一〇号事件の請求はいずれも前認定の限度で理由がありその余は失当であつて、これと結論を異にする原判決は一部分失当で右控訴人らの控訴は右の限度において理由があるから原判決を主文のとおり変更し、訴訟費用の負担につき、九五条、九六条、九三条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

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